月刊 プラザ岡山 Vol.240

月刊 プラザ岡山 Vol.238 page 19/36

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概要:
21世紀 岡山の100人とにしたんです。そうして『トビムシ』と西粟倉村の共同出資の形で、2009年、株式会社『西粟倉・森の学校』を設立しました」││ 事業の内容を教えてください。 「農山漁村は、近年の大量生....

21世紀 岡山の100人とにしたんです。そうして『トビムシ』と西粟倉村の共同出資の形で、2009年、株式会社『西粟倉・森の学校』を設立しました」││ 事業の内容を教えてください。 「農山漁村は、近年の大量生産、大量消費型の構造の中で、都市部の仕入れ先となっている現状があります。そのポジションから脱け出し、売り手としての主体性を持つことで、地域の資産は適正な価格で評価されると思うんです。『森の学校』は、西粟倉村の資源から価値を生み出し、その恵みで地域をより豊かにしていくことを目的としています。西粟倉村には約5千ヘクタールの森林があります。例えば、木材を丸太のまま流通に乗せると1億円くらいにしかならないんですが、建材などに加工して販売すれば数倍、数十倍の収入が見込めます。間伐材も加工品にして出荷します。素材はたくさんあるわけですから、まずは商品にする仕組みを整えることから始めなければなりません。そのためには、スキルを持つ人の発掘、育成も大切だし、企画、開発、販売などにも、多くの人材が必要となってきて、地域雇用も促進されます。そのことにより、地域の人材交流や経済流通も大いに活性化されると思います」││ 具体的な商品としては、どんなものがありますか。 「木材の内装材、家具、ワリバシなどがあります。ここ2年で、加工の技術は急速にレベルアップしてきました。他に引けを取らないと思いますよ。 ユカハリ・タイルは、杉やヒノキの間伐材でつくった床材です。敷き詰めるだけで無垢の床ができあがって、足触りがよく、リラックスできます。部屋の一角に置くだけでも香りがいいし、犬や猫はその上にずっと座っていますね。賃貸の部屋にでも、簡単に並べられるのでお勧めです。床材をとったあとの端材はワリバシに加工します。無漂白で、防腐剤も使用しませんから安心安全です。間伐材は不安定な材料なのでやめておけ、と言われる中、ワリバシをつくる機械をつくるところから始めて、苦労してやっとできあがったときはうれしかったですね。国産材ワリバシの工場としては、すでに上位5番までに入る生産規模です。農産物の販売やツアー企画も伸びています。それから、夢としては、本物の木の家を丸ごとつくれるようになること。それも近々かなえられると思います。 大事なことは、単に物を作って売るというのではなく、物といっしょに思いも伝えること。西粟倉村では、心のつながりを豊かにする産業を〝心産業?と呼んでいますが、それこそがこれからのあり方ですね。『森の学校』をつくってよかった、と思ってもらうためには結果を出すしかありません。現在『森の学校』は工場、ショップ、カフェなどの部門に分かれ、それぞれで展開しています。スタッフの給料を出し、また会社としても利益を上げたいので、来年はぜひ黒字化に、と思っています。手応えはありますが、課題は、もう少しスピードアップすることかもしれません」気晴らしはウナギ釣りに││ お仕事を抜きにした西粟倉村の印象は。 「ほんとに空気がきれい、ということです。最近は東京に出ると息苦しく感じ、改めて西粟倉のよさを実感しています。ただし冬は苦手だけど。釣りが趣味で、湯郷あたりまで出掛け、夏場はウナギを釣ります。スタッフが必死で働いているのにひとり釣竿持って…。 単身赴任で、妻と子どもふたりは、妻の実家である兵庫県の三田にいます。西粟倉から車で一時間半です。ここで仕事をするようになって、生活は不安定だし、家にいないことも多いので、妻としては不本意ながら諦めているという感じだと思います(笑)。 県北でありながら、交通の要衝でもあるので、周辺との連携を考えるととても便利な地域でもあります。吉井川流域という切り口で、美作市や瀬戸内市に呼びかけたり、因幡街道沿いのおいしい食べ物を集めて販売していくこともやってみたい。木製品だけでなく、日常レベルの消費までカバーできて、生活の質を高める魅力的な売場として森の学校という施設の整備を進めていきたいですね。 森林の活性化は今後の日本にとっても大きな課題です。西粟倉村はその先進モデルになる可能性があります。西粟倉村の地域再生の成功に貢献できて、牧が来てよかったなと村の人たちにも思ってもらえるようにがんばりたいです」トビムシの研究より、自分がほんとうにやりたいことを追求。西粟倉村で地域再生に貢献したい。取材/プラザ編集室●藤原邦子・小田由紀子森の学校内 木工房ようびのショールーム